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5月2日(月)

地域で津田の議会報配布、最終完了。会報誌の部数を増刷していただいており、9日ごろに新しくできてくるので、その折には再び地域にも。

 
どこにも出かけないぞと決めて、読書とネット検索。

結果感想文をしたためました。神野直彦著作品4冊分。
この文にも掲げましたが、財政・経済の読みやすい本でしたが、紹介していただけなかったら決して津田自身で、書店の書棚から選ばなかった本であります。ありがたい整理ができました。一部ですが、そこに会った内容の抜粋をしておこうと思います。
約束通りレポートにして、質問を加えながら、連休中の「仕事」として完成し、ほっと一息つきました。




~神野経済学には福祉の視点~

神野 経済学には「再分配のパラドクス」という言葉があります。生活保護のように、貧しい人々に限定して現金を給付すれば、貧困や格差が少なくなるように見える。でも、現実には、病気や介護、子育てなど貧富に関係なく広く、手厚く保障する方が格差は縮小し、貧困が減少する。垂直的分配ではなく、水平的分配の方が貧困は減る――。このことを、再分配のパラドクスと言います。
 前者のように貧しい人に限定して再分配しよう、と考えている国は米国や英国です。米国や英国の生活保護費は世界で最も多い。常に、この2カ国でトップ争いをしている。それに対して、高福祉で知られるスカンジナビ ア諸国は生活保護をあまり出していません。
 〔中略〕
 スウェーデンでは医療サービスは基本的にタダ。教育サービスや介護サービスも無料です。そのため、家族が病気になった、子供が学校に通いだした、親に介護が必要になった、と言っても生活保護費を増やす必要がない。その人が口にする物と身にまとう物だけのお金を給付すれば済むわけです。
 ――ほかのセーフティーネットが厚いため、生活保護費を増やす必要が ないということですね。

神野 そうです。いろいろなネットに引っかかるため、ラストリゾートとしての生活保護が結果として少ない。ところが、セーフティーネットが少ない日本や米国では、貧しい人が直接、ラストリゾートに落ちてきてしまう。しかも、その生活保護で国民年金保険料や医療費を払わなければならない。これでは、格差はなくなりませんよね。セーフティーネットの重要性は福祉に限った話ではありません。スカンジナビア諸国は、1990年代後半に高成長を実現しました。これは セーフティーネットが経済成長を阻害するものではないということを示しています。それに、今後、先進国は従来の重化学工業から自然資源を乱費しない知識集約型産業にシフトしていかなければならない。
 
〔中略〕

神野 セーフティーネットは落ちても死なないために整備するもの。でも、スウェーデンではそのネットを就労に結びつけている。つまり、「働くための福祉」。失業しても、再教育、再訓練して働けるような福祉を提供していく。私はこのことを「シュンペーター的ワークフェア」と呼んでいます。ワークフェアというのは、就労(ワーク)と福祉(ウェルフェア)の造語ですね。能力開発型の福祉になると、人間の能力を高めて生産性の向上や技術革新を実現し、国際競争力を高めよう、という発想になる。訓練によって衰退産業から成長産業へ移そう、という考え方ですね。それに対して、日本の場合は国際競争力を高めようとする場合、賃金を下げる、という発想になってしまう。人的投資を考えていないということですよね。〔以下略〕”勤労観と合理主義精神において北欧と日本の懸隔は大きいものがありますが、利点はハイブリッド型で取り入れたいものです。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~(追記)~~~~~~~~

当ウェブログで何度も書いていますが、北欧諸国はここ十年ほど明らかに経済成長率において日本よりも上です。産油国のノルウェーに負けるのはともかく 寒冷地で耕地も資源も少ないフィンランドやスウェーデンより日本の一人当たりGDPが見劣りする現実を、よくよく考えて欲しいものです。不況克服においては、北欧の方が「先進国」なのです。


4月13日から読みふけっている神野氏の本4冊のうち、最終本になりました。経済学を知る、また親しめるきっかけでした。以下、心に残っている文章の一部を引用します。
神野直彦著 「分かち合い」の経済学から


神野直彦著『「分かち合い」 の経済学』

 本書は、未来への「行動を求める能動的希望の書」である。スウェーデン語で「社会サービス」を意味する「オムソーリ(omsorg)」という言葉の原義(=「悲しみの分かち合い」「優しさの与え合い」)の紹介から説き起こし、この「分かち合い」をキーワードに、日本社会のビジョンを描こうとするものである。
 
 著者は「はじめに」で日本での「子ども手当」をめぐる子どものいる家庭といない家庭の論議を紹介している。「私たちには子どもがいないのに、どうして子どものいる家庭のために教育費の負担をしなければならないのか」「あなた方の年老いた時の年金は、私たちの子どもが支えるのですよ」といったやりとりである。

 市場原理主義が喧伝された時代の中で、私たちの発想は市場経済に馴らされ過ぎている感がある。本来、社会的な「分かち合い」であるはずの領域が「奪い合い」に陥っている例は多い。
 また、著者は経済社会発展の延長線上に知識社会を位置づける。そこでは「人間が主体となって、より人間的な能力を発揮させていく労働が要求されるようになる」が、新自由主義の中で企業が人件費の削減を急ぐ結果、「知識社会への技術革新を可能にする人的投資を怠ってしまうのである」。
 さらに「生命を維持する活動である生活の『場』では、『分かち合い』の原理つまり協力原理にもとづかなければ成り立たない」「したがって、市場社会で生産活動が競争原理にもとづく市場経済で営まれるといっても、生活活動は家族やコミュニティという協力原理にもとづく『分かち合い』の経済で営まれている」として、コミュニティ組織を基盤にした事例として、島根県雲南市大東町の海潮地区振興会の事例を取り上げている。
 しかし、進め方としては次のようにも指摘している。「『分かち合い』は指導者によって創り出されるものではない。社会のすべての構成員の行動を必要とするからである」「新しい時代を形成しなければならない歴史の曲がり角で必要なのはスピードではない。歴史の曲がり角では、進むべき目的を間違えないように、車を止めてでも地図で目的地と現在地を確認する必要がある。改革にはスピードが求められるというヒステリックな主張は、邪な利益のために誤った方向に進むことを促迫しているにすぎない」。




人間の絆の強いフィンランドでは、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムの国際競争力ランキングを見ても、低落している日本をしり目に、常に日本を上回る高位を維持している。(中略)
 人間の絆をスウェーデンでは、社会経済モデルの鍵を握る概念として位置付けて、「社会資本」と呼んでいる(中略)
人間の絆の衰退が、社会的危機をもたらすばかりでなく、経済的危機をももたらす。しかも経済的危機が人間の絆を衰退させ、人間の絆の衰退が社会的危機と政治的危機を激化させるという「絶望の悪循環」が日本では形成されている。



≪なぜこの文章を引用したの?≫フィンランドといえば教育。PISAのテスト結果が、よいということで日本と比較され、学びをこの地に求めた我が国でしたが、テストの点数を向上するべく策・・・基礎学力の定着向上・・・もとっていましたが、教育だけを論じてもダメということがまたまたわかったような気がしましたので。
フィンランドの人は、テレビがなくとも生活できるが、本のない生活は考えられないというのです。仕事のない時、森に潜んで本を読む生活。ワークライフバランスが行き届いている国のようです。おかしい日本の実情です。躍起となって挑むのですが、これまでしてきたことに誇りを持つことをしないで、次の手を考える。そうやって継続することを避けてきているのではないのでしょうか。根拠のない政策ばかりでは???≫

1973年の「9・11」
「9・11」といえば、2001年9月11日に起きたアメリカの同時多発テロが想起されるけれども、1973年の「9・11」を指す。
1973年9月11日、チリ大統領サルバドール・アジェンデが、ビノチェト将軍率いる軍のクーデターによって殺戮された。このクーデターには、アメリカの諜報機関CIAの関与が指摘されている。


つまり民衆に選ばれた一国の元首が、アメリカを後ろ盾にした卑劣な暴力によって、その職から引きづりおろされてしまう。アジェンデ惨殺し、大統領の地位を手にしたビノチェトは、暴力的な独裁政権を確立し、新自由主義の政策を推し進めていくことになる。

この本を読んでいた5月1日、テレビでは、昼時間に、アメリカのオバマ大統領が、9・11の首謀者オサマビンラディン氏を捕まえ惨殺したと発表した。なにかの因縁にも感じて書きとめました。しかしなぜ9.11なのかと思っていたらここまで深い関連があったのですね。やったらやり返す、その連鎖では、弱い立場、無関係の人までもが殺されていく。けがを負っていく。こんなことで人生が変えられていく。許せない。国の威信にかけて「福祉国家」となっていけるよう舵を取るべきである。
by tsudahibi | 2011-05-06 12:17

兵庫県川西市・市議会議員つだ加代子です。ご訪問ありがとうございます。 皆さんのご意見・ご要望をお聞かせいただき一緒に考えたり共に行動をおこしていきたいと思っています。 よろしくお願いします。


by tsudahibi
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